今のお子さんは環境に影響されています
身長が低くて子供自身が悩んでいる。子供の身長が将来伸びるか心配。
そんな悩みをもっている親御さんは、お子さんの生活習慣を見直してみてください。
子供の身長は、両親からの遺伝によるところが大きいと思われていますが、
実際には背の高い両親から生まれた子が、それほど高身長でなかったり、逆に背の低い両親から生まれた子供が大きく育ったり、ということがあります。
一説には、遺伝が身長に及ぼす影響は2割とも言われており、
子供の身長には、成長する環境が深く関わっていると言えます。
1950年代以降、日本人の平均身長は右肩上がりに伸びてきました。これは食事の欧米化により、子供の栄養状態が良くなったことが原因だと言われています。
特に子供の成長に欠かせないタンパク質の摂取においては、量、質ともに大幅に向上しました。
しかし現代日本において、日本人の平均身長は伸び悩んでいると言われており、それは子供の生活習慣の悪化が大きな原因となっています。
中でも主要な原因となっているのは、
- 睡眠不足
- 運動不足
- 栄養の偏り
であり、これらは現代社会の環境と親のライフスタイルに大きく関連しています。
原因①|睡眠不足
日本の子供は、世界で最も夜更かしで睡眠時間が短いことで知られています。
2007年の世界16カ国、約28000人の0-3歳の赤ちゃんの睡眠時間についての調査では、日本の赤ちゃんの睡眠時間はやはり世界最短でした。
同調査で最も睡眠時間の長かった、ニュージーランドの赤ちゃんと比べると、平均して2時間以上も短かったのです。
日本の子供の睡眠時間が短いことの原因としては、テレビ番組を遅い時間まで視聴している、スマホやインターネットを使って何時まででも遊んでいる、といった環境があげられます。
更に、親の帰宅時間が遅いため、帰りを待っていて遅くなってしまうケースや、塾や部活動で帰宅が遅かったり、自宅で夜遅くまで勉強しているといったケースもあります。
原因②|運動不足
ベネッセの調査によると、1日に子供が外で遊ぶ時間の平均は、小学生44.8分、中学生19.4分、高校生12.3分と短く、さらに減少傾向にあります。
文部科学省が昭和39年から行っている体力テストがありますが、平成13年に中央教育審議会が文部科学大臣に対して行った答申によると昭和60年ころを境に、子供の運動能力は低下し続けています。
子供の運動不足には、昔と比べ遊び場所が少ない、習い事で時間が無い、テレビゲームが普及した、ということなどが影響していますが、それだけではありません。
通勤中や、家に帰ってからも、スマホやパソコンに夢中になっている大人たちを、子供は見ています。スマホゲームが楽しいのは大人も子供も同じです。
原因③|栄養不足
子供の発育に栄養が大切なことは言うまでもありませんが、子供の栄養が偏ってしまう原因として、
子供がひとりで食事をする生活環境があげられます。
コンビニなどで、自分の好きなものを選んで食べるために偏食になってしまったり、ひとりで食べる食事が美味しく感じられず、食事そのものに鈍感になってしまうということもあるようです。
また、ファーストフードなどのジャンクフードが広く普及したことと関連し、子供の肥満率は90年代以降、急速に増加しつづけています。
身長が低いと悩む人はそんなにいる?
日本人の平均身長は、成人男性が167.3cm、成人女性が154.2cmです。
一方で、2014年のインターネットリサーチ調べによると、自分自身の理想身長は、男性では176~180cm(44.4%)、女性では156~160cm(44.0%)が最も多く、平均身長より高い数値を答えた割合は、男女ともに7割程度でした。
またあるテレビ番組で行われたアンケートでは、成人男女の7割以上が、今より身長が高くなりたいと答えており、この結果を裏付けています。
さらに、高校生を持つ母親に対するアンケートでは、平均身長未満の高校生の6割以上は小学生時代から身長を気にしていた、という結果が出ています。
このように、大人も子供も、高身長に憧れていることがわかります。
これはやはり、テレビや雑誌で見る、背の高いモデルさんなどのスラッとした姿が、かっこいいと感じるからではないでしょうか。
また、身長が低いことをコンプレックスに感じている人は多いようで、インターネット上での悩み相談サイトでも、身長が低い悩みがたくさん寄せられています。
中には、バスケットボール部に所属している、背の低い子供の身長を心配している母親の悩み、背が低いことを理由に仕事を任せてもらえない悩みなどもよせられており、身長が低いことは見た目だけの問題では無く、人によっては深刻な問題であることが伺えます。
身長を伸ばすには?何から見直せばいい?
はじめに見たとおり、子供の身長を伸ばすには生活習慣の改善が不可欠です。
それでは、もう少し詳しく見ていきましょう。
改善①|睡眠不足
骨の成長に最も重要なのは、成長ホルモンです。
身長が伸びるには、骨を形成する細胞が増殖する必要がありますが、その増殖を促すのが成長ホルモンです。
成長ホルモンは、食事や運動の後、日中の活動中にも分泌されますが、夜熟睡している時に、より多く分泌されます。
つまり夜にしっかり寝ると、成長ホルモンがたくさん分泌され、背が伸びやすくなります。
子供の理想的な睡眠時間は、表のように言われています。
幼児 | 10~13時間 |
小学生 | 9~11時間 |
中高生 | 8~10時間 |
睡眠不足は体だけでなく脳の成長にも悪影響を及ぼします。まずは早めの就寝を促すなどして、
必要な睡眠時間を確保できるように、生活スタイルを見直してみてください。
また、スマホやパソコンの画面から出るブルーライトは、睡眠の質を低下させると言われますので、就寝前は特にこういった画面の視聴は控えましょう。寝る時は、部屋をしっかり暗くするのが理想的です。
これ以外に、成長ホルモンは体内の血糖値が高い時には分泌されないという性質があるので、食事は就寝の2時間以上前に済ませ、夜食は避けましょう。
改善②|運動不足
運動の種類に関わらず、体を動かすことは身長を伸ばすことに効果的です。
よく、ぶら下がり運動やジャンプ運動をすると背が高くなる、と言われますが、これは間違いです。
実際に背が伸びる効果があるのは、
身体を「ひねる」「そらす」「曲げる」といった全身運動で、これらの刺激により、軟骨部分の体液の循環が良くなり、骨に栄養が行き渡り、成長を促す効果があります。
とにかく、運動する機会を増やしてあげてください。
運動系の習い事や、部活動なども良いですし、通学や外出の際に歩く機会を増やすだけでも効果があります。
また先で述べたように、スマホやゲームに費やす時間が子供たちの運動不足の原因になっている場合、それらの時間を減らすことで、運動不足と睡眠不足、両方に効果があり、ゆとりを持った生活ができるでしょう。
親もスマホを使う時間を減らし、一緒になって外で遊ぶ時間を作るなどして、小さい頃から外遊びの楽しさを伝えることが大切です。
改善③|栄養不足
食事はバランス良く適量を摂ることが大前提ですが、
身長を気にするなら特に、たんぱく質を摂ることを意識しましょう。骨を作る材料となるのがたんぱく質です。
このたんぱく質が不足すると、どんなにカルシウムやマグネシウムなど、背を高くすると言われる栄養素を摂ったとしても、骨は成長しません。
成長期の子どもに必要なタンパク質は下の表のように言われています。
時期 | グラム(g) |
乳幼児 | 35 |
幼児期 | 45 |
6~8歳 | 55~60 |
9~11歳 | 65~80 |
12~14歳 | 80~85 |
15~17歳 | 65~80 |
これらの量を摂りすぎることなく、動物性、植物性をまんべんなく摂取することが理想的です。
また骨の成長に大切な栄養素には、カルシウムや亜鉛、アルギニンなどもあります。これらの栄養素を、毎日の食事の中でバランス良く摂っていくことが大切です。
と同時に、糖分や脂肪分、食品添加物の過剰摂取にも十分に注意したいところです。
肥満は成長ホルモンの分泌を減らし、思春期のおとずれ=身長の伸び止まり、を早めます。
毎日忙しい中で、食事に十分気をつかえないと悩んでおられる方は、サプリメントを利用するのもおすすめです。
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そして、もうひとつ大切なことは、お子さんが食事を楽しいと思える環境を整えてあげることです。
美味しく食べる食事からは、栄養の吸収も良くなりますし、お子さん自身が食事に興味を持つことで、積極的に良い食習慣を身につけることを促します。また過食や偏食を防ぐためにも効果的です。
まとめ
子供の身長を伸ばす為には、生活習慣が大切です。
身長を伸ばすという観点からみると、現代の日本の子供のライフスタイルは、残念ながら理想的なものとは言い難いです。
ですが大人達が気をつけて、小さい頃から規則正しい生活習慣を心がけてあげることで、子供たちは身長を伸ばす力を最大限に発揮することができます。
身長を伸ばすために大切なのは、睡眠と栄養と運動です。
- ライフスタイルを見直して睡眠時間を確保し、睡眠環境を整えましょう。
- 家族で食事をする時間を持ち、食に関心を持てる子に育てましょう。
- 適度な運動を習慣にしましょう。親子で体を動かす機会をつくりましょう。
ぜひこれらを意識して、お子さんの身長を伸ばすのに役立ててください。
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